眼鏡とハンバーグと指環と制服と

教頭先生の片眉が、不快そうに上がる。

「はい。
以前からいっていますが、私と七尾さんは兄妹同然に育ってきました。
私は七尾さんのことを妹だと思っています。
それ以上でもそれ以下でもありません」

「つまり、付き合ってる事実はない、といいたいんだな?」

「はい。そうです」

「七尾はどうなんだ?」

「……私も、月原先生のことは兄だと思っています。
それ以上の感情はありません」

震えそうな声を、必死で押さえる。
いまここで、ぼろを出すわけにはいかない。

「しかし、兄妹でわざわざ出かけたりするものかね?」

「七尾さんは去年、祖母を亡くしています。
ひとりになって初めての正月、不安になっているんじゃないかと、元気づける
ために連れ出しました。
それに二日は、いまお世話になってる近藤さん宅では、父親の実家に皆で行く
ことになってますので」

「軽率な行動だったとは思わないかね?
いくら君たちが兄妹としか思ってないといっても、傍目から見れば、教師と生
徒だ」

「……申し訳、ありませんでした」