眼鏡とハンバーグと指環と制服と

映画よりもきっと、楽しいと思う。

お手洗いで並んでたら、後ろのおばちゃんに話し掛けられた。

「あんたの旦那さん、詳しいんだね。
話、おもしろかったから、つい聞かせてもらったわ」

「え、ありがとうございます。
その、……主人、日本史の先生をしてるので」

……うわぁっ。
い、いっちゃったよ!主人、って!

「それで。
旦那さんにお礼、いっといてね」

ちょうど順番が回ってきて、おばちゃんに会釈して個室に入る。

……きっとおばちゃん、指環見てくれたんだと思う。
嬉しいし、その……。


「ゆずちゃん、どうしたの?」

お手洗いから戻って、なんとなく夏生の顔を見れなかった。
黙って俯いて手を握ると、怪訝そうに顔を覗き込まれた。

「あのね、お手洗いで、後ろのおばちゃんから、旦那さん、詳しいんだね、っ
ていわれた」

「そう」