カルマノオト

そう零した瞬間、大きな手が私の頬に触れる。




無言のまま近付いてくる彼の顔。


動けない私は、そのまま黙って彼の唇を受け入れた。




―――どうして……?




ライブのパフォーマンスだけならわかる。


だけど彼は、どうして再び私にキスをしたのか。




とても気持ちいい極上のキス。


大好きな人と交わすキスだから、きっとこんな風に思えるのかもしれない。




―――また、好きになっちゃう……。




一度は諦め、もうどんな事にも期待なんてしないと決めた。


だけど再び巡り合えば、その思いも簡単に蘇ってしまうものなのか。