実は理由を知っている。




正登が変わった理由……いや、変われた理由。


きっとそこには、隣で車を運転する彼が関わっている。




「あっ、結局送ってもらっちゃったけど、先生の家ってこっちじゃないんじゃ……?」




話題を変えようと窓の外の景色に視線を逃がした時に気付いた。


当たり前のように送ってもらっていたが、彼の家はどこにあるのだろう。




出発地は札幌の繁華街・すすきの。


私の家は、そこからずっと西へ向かった小樽にあるのに。




「何だよ、今更そんな心配してんの?」