自分の苗字を呼ばれ、嬉しさの余り大きく頷く。




彼は私を思い出してくれた。


全てではないけれど、私に与えられた名前の一部を……――――――




「……良かった。

思い出してくれたんだ……!!」




再び目から溢れ出す涙。




心から嬉しい。


きっと忘れられているだろうと思い、これまでずっと避けて続けてきた再会の時。


だけど、私が投げ掛けたヒントを集め、ようやく彼は思い出してくれた。




根岸里衣という女子生徒の事。


それから、懐かしくセピアに色褪せた十年前の日々の事を……――――――