「へぇ……、そうなの?」




適当に相槌を打ちながら、エスプレッソにバニラジェラートの溶けたアフォガードをスプーンで掬う。


それを口へ運び、何度食べても満たされるほろ苦い好物の味にうっとりする。




「良かったら聴いてみてよ!

ようやくこの前、通販で初期のアルバムを手に入れたんだ。」




そう言ってバッグをあさり、ポータブルミュージックプレイヤーを取り出す奏美。


丁寧に巻き付けられたイヤホンのコードを解き、早速それを私の方へ手向けてくる。




「ほら、予習だと思って!」