―――『ピリリリリ……――――――』




リビングの方で着信音が鳴った。


ノートを持ったままパソコンの前に戻り、座椅子の脇に投げ捨ててあったスマートフォンを拾う。




電話を掛けてきたのは、高校時代の同級生であり大学の先輩でもある友人の奏美。




―――「ねぇ、次の土曜日って空いてる?」




唐突な誘いはいつもの事。


それに対応できるフットワークの軽さを持ち合わせているからこそ、マイペースで気まぐれな彼女との付き合いもここまで続いてきた。




「ああ、うん。

午前中で実習が終わるから、多分午後からなら大丈夫。」