隣に座り、頭を抱え込むようにしてくれている杉本の肩に目をやると、あたしの涙と鼻水でぐちゃぐちゃに濡れていた。


「——わ、ごめんっ!杉本の肩すごいことなってる!」


撫で続けてくれていた手が、ふわりと余韻を残したまま止まる。そして軽く“ポン”と叩いたあと、またあたしを覗きこんできた。


「ひでぇブス面」


それは初めて杉本と言葉を交わせた、あの下駄箱でも言われた言葉。


「あ、そうそう俺が辻にはじめて話しかけたとき、あの日も雨だったろ」


あたしを覗きこんでいた杉本の顔が正面へ向き、思い出すようにゆっくりと口を開いた。


「雨が降るたび、別れ話してた日の辻を思い出してたような気がする」


どこからか風に飛ばされてきた葉っぱを手で弄ぶ杉本。


「したらさ、辛気臭い顔してボーッと下駄箱のところに立ってるし。邪魔だし」


杉本の手で遊ばれていた葉っぱが、再び風に飛ばされた。


「あたしあのとき、すごい杉本にムカついたんだよね」

「ムカついても、すこしは元気になっただろ?」


どこかいたずらっぽく笑う。

また少し、目頭が熱を持った。