「たしかねー、飴食い競争? そんなのなかったか? 障害物競走だっけ。かなりいい写真でしょ?」

「うん、かわいい」


思わず頬が緩む。
そして胸が締め付けられる気がした。

あたしは杉本のことを何も知らないんだなぁ。
それに由香先輩のことは、もうふっ切れてると思っていた。

あたしがそうだから、杉本もそうだとでも思っていたのかな。

わかってるつもりだったけれど全然わかってなかったんだ。

なんだかな。


「はあ……」

「溜息は幸せ逃がすよ!」

「ごめ…、つい」


そして梅雨らしくなく快晴の空を睨む。


「屋上行かないの?」

「行かない」

「なんで?」

「なに喋っていいかわかんない」


屋上へ行くつもりはない。
そして雨の降らない梅雨はまだ続く。

こんなの梅雨入りとはいえないんじゃないの?