「「も〜〜どこいってたの!」」
ふたりの声が揃ってる。
「ごめん〜」
あたしの顔を覗きこんで来た佳代が「なんか怪しいなー」と目を丸くして言った。
佳代は中嶋くんとの件で、去年の夏にあたしと杉本が一緒にいたところを目撃している。
だけどそれについていま改めて話すこともないし、これ以上の突っ込みはしてこない。というのも、それは千草が杉本を好きだということにも関係していた。
千草は最近とくに杉本の話をよくする。
「あ〜〜。シンと美耶また同じクラスでいいな〜。校舎が違うと全然会えないし」
屋上でのことは誰にもいってない。
だから杉本とあたしがたまに会ってるなんてことを千草は知らない。
でも冬のあいだは会っていなかったのだし、いまだって待ち合わせをしていたわけではない。たまたまで偶然。ひとりで過ごすこともあるのだし。屋上という場所が特別なだけで、それ以外はたまたま。
だからさらっといってしまえばいいのかもしれない。だけど屋上の鍵うんぬんを杉本に許可なく話していいのかわからない。
なんだかんだと理由をつけ、杉本と会っていることはいえないでいた。それに屋上での時間は大切にしたいと思っているあたしもいる。……ズルいよね。
千草が杉本のことを好きだと知っているくせに、こんなの抜け駆けしているようなものだ。
だから千草にバレる前に自分の口から言おうとは思っている。だって千草は大事な友達だ。
