とくに見送るでもなく、名残惜しい気持ちがあるわけでもなく。サラッと"じゃあ"と別れるあたしたち。
屋上へ通じる階段のフロアは特別教室なので誰かに会うこともほとんどない。
遠ざかっていく杉本の足音を聞きながらスマホの通知をチェックしつつ廊下を歩いた。
「あ……」
河口からのLINEがきている。
同じクラスだった一年のときはほとんど会話をしたことがなかったのに、いまでは気楽に話せるクラスメイト。気さくな千草には、男女問わず、たくさん友だちがいる。あたしは千草のおかげで、いまのクラスにすぐ馴染むことができた。
《話があるから時間つくって》
着信時間は10分ほど前だ。
《わかった♪ いまから教室戻るから》
素早く返信を済ませれば、すぐに既読がつき返信が来た。
《いまは無理だから放課後残ってて》
ん? なんだろう。
少し前に千草の誕生日があって、そのサプライズ的なことを河口が企んでいたことがあった。今回もそういうことなのかも。
そして教室に戻ってみれば、少し膨れっ面の千草と佳代が寄ってきた。
