「なんか目腫れてるし」
この時期はあまり外に出たくないといいながら、杉本は屋上にやってくる。花粉のせいで潤んだ杉本の目を見るとなんだかおかしくて笑ってしまう。
「おまえ最悪」
そう言ってぶぶっと鼻をかんだ。
すると携帯が短く振動する。
新しいクラスにも慣れ、あたしの携帯にはクラスの子から連絡が入るようになっていた。
「携帯鳴ったぞ」
この時期の日差しは心地よくて、しばらくすると眠ってしまうことがよくあった。
最近あたしたちはお互いの背中を壁代わりに利用して、もたれあうことが多い。
今もその状態。杉本の声が背中から聞こえる。
「聞こえてる?」
「あ〜…うん、知ってる」
眠たすぎて返事だけした。
「なんか最近良く鳴ってるな」
そう言って背中合わせの状態のまま、頭をくいっと上げた。
あたしの肩にふわっと杉本の香りがするので目をやると、肩の上に杉本の頭がある。
「うーん、そうかな…」
あたしからは杉本の頭の天辺しか見えない。
そっと杉本の髪に手を伸ばせ触れてみた。
そういえば髪の毛に触れるのって、これが初めてかもしれない。
「ねえ杉本。髪きれいだね。それになんかいい匂いするし」
「おまえさー。そういうのは普通さ、男が言う台詞じゃね?」
「——たしかに」
おかしくて、思わずふたりでくすくす笑い合い、背中合わせの肩が揺れた。
