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新しいクラスには、一年のとき同じクラスの河口という男子がいた。河口は一年のとき、そんなに話したことがなかったけれど、千草と塾が同じだったとかで二年になってから親しく話すようになる。

新しく友だちもできた。なんとそれは中嶋くんの件であたしに喋りかけた子。あたしは佳代と呼んでいる。このクラスで声をかけられたとき、記憶の糸をたどって懐かしい気持ちになった。

そしてふと中嶋くんを思い出す。いまでは連絡のやり取りですら、もうしなくなっていた。


いろんな出会いがあるけれど、日本の人口に比べるとあたしが出会える人数は限られている。だから中嶋くんや佳代。バイトで出会った人たち。美耶と千草や咲と遼汰…。そして杉本。きっと意味のあることなんだろうと、なんとなくそう思う。


そして千草はあみだくじで生活実行委員になった。これは一年間通して活動のある結構大変な委員なので、ご愁傷様としかいいようがない。文化祭や体育祭も絡んでくるのだ。

そういえば去年の文化祭のころは咲が盲腸で入院したっけな。それ以外の思い出がとくにない自分に驚いてしまうよ。


「あれ? ねえ、どこ行くの?」

「ちょっとね」

「なにそれっ! かなり怪しいんだけど!!」

「すぐ戻ってくるって」


また、どちらからともなく屋上へ足を運んでいるあたしと杉本。ポケットに忍ばせているリボンのついた鍵もどこか嬉しそうに揺れる。

気持ちも穏やかな春。


「おはよ。もう来てたんだ?」

「おー」


ここへ来るとやっぱり落ち着く。


「なんか早いね、今日は」

「——っくしゅん」


去年この時期の杉本を知らないけれど、どうやら杉本は花粉症らしい。