「…なんだよ、助けてやったのにため息が出るっておかしくないか?」
「…ありがとうございます…でも、先輩ってどうして今日1日散々迷惑かけた私を助けたんですか?
普通無視するもんじゃないですか…」
「…それは…わかんねー。なんかほっとけなかった。」

私はなおさらわからない!!

「…先輩、それ答えになってないです…
あ、そういえば、私は小鳥遊 春馬です!先輩の名前聞いてもいいですか?」
「…なんで、」
「…え?なんでって…パーカーの件と今日の件でお詫びを…」
「お詫びはいらねーから。」
私の言葉を遮って先輩は真顔でそう言った…
私は意味がわからずフリーズした。
「…??」
「…じゃあな、俺これだから、」
先輩は私のと違う電車に乗ろうと1歩を踏み出す。
「…あ、ちょっと!?」
あっという間に先輩は消えて、私は取り残された。
「…はぁー。意味わかんない。」
明日はパーカーだけ返しに行こう…お詫びは迷惑らしいから。

彼は優しいかと思えば今度は無愛想と来た…私の先輩のイメージがますます不思議になる一方だ。

ただ一つ、分かるのは優しいこと、後は意地悪だし、よく寝ている…彼はめんどくさがり屋なのだろうか…。

私の乗る電車も来たので乗り込んで、そのまま家にかえる。

その間考えているのは何故だか先輩のことで…
私はやっぱりあの先輩はとても変わっている上にズボラな人だと思う。
おまけに毒舌…それでも嫌いになれないのは、なんだかんだで彼が優しいからだろうと思うんだけど…

私はどうしてこんなにも先輩の事を考えているのかつくづく不思議で…
気づけばもう家の前。
「…ただいまー」
家のドアを開けて靴を脱ぐ。

「…遅い!! 心配したんだから!」
お母さんはやはり怒っていた。
私はかえって速攻に母から怒られたのだった。
兄の悠はリビングから顔を覗かせてニヤニヤ…


母から怒られた後は私一人でご飯を食べた。(家族は私が遅いので先に食べてた)

その後は普通どうり。

11時、寝る時に私はなんだか先輩と出会ってからたくさんのことが起こるし…
これから忙しくなりそうな予感がした。