そんなこんなで終わった梅の実の収穫なのだけれど、何しろ四袋もあるので重くてたまらない!
「…どーやって持って帰るんだよ。」
「それはですねー……。」
「…普通に持って帰ります…」
「…いや、怪力じゃない限りこんな重いの手じゃ無理だろうが」
すかさずレイヤ先輩のゲンコツが落ちてきた。
「…痛い!…少しは加減してくださいよ」
私はじとーっと玲弥先輩を睨みつける。
「…も、もてますよ!」
「…お前は絶対に、むり。」
ニヤリと、玲弥先輩が笑う。
そういうと玲弥先輩は梅の実の入った袋を3個もつ。
「…力持ち自慢はいいですから。」
「…バカ…ちげーよ。」
「…じゃあ、なんですか?」
先生は大きくため息をついて…
「…ほら、帰るぞ、
一つくらいは持てるよな?」
どうやら梅の実を持ってくれるみたいだけど…
「……え!?…どうしたんですか?
今日の玲弥先輩、優しかったり、意地悪だったり…不安定ですよ?」
「…おまえな、そんなことばっか言ったらこの袋全部持たせるぞ!」
「わ!…すみません!
ありがとうございます!」
「…まぁ、いろいろ無理すんなよ…。」
またもやイヤミを言われた…
大急ぎで玲弥先輩に駆け寄ると、
今度は優しく頭を…
「…ッ!? これだ!…これです!今日の玲弥先輩は急に優しくなる。」
今まで意地悪だったのが今度は、頭をポンポンって!
「…なんだよ、悪いことしてないだろ?」
「…そ、そうですけど…」
だって、急に優しくなんかされたら…
どうしたらいいのかわからないじゃないか。
「…??」
玲弥先輩は私の言葉を待つ。
「…なんもないです!」
私はそう言って
スタスタと早歩きをした。
「…は?…どうしたんだよ…」
玲弥先輩は私より背が高い、そのためすぐに追いつかれてしまう。
「…気にしないでください!」
私はなんだかさっきの出来事が照れ臭くて顔が熱い。
「…ま、いいか。」
私は玲弥先輩のその言葉にほっとする。
それにしても、この変な感じが止まらない。
一体この気持ちはなんだろうか??
そう思いつつも、玲弥先輩との会話は楽しくて、どこか懐かしい。