それを言ってもどうにもならないことは身に染みている。子どものころはまだ外に出てお転婆してたけど、いつ頃からか貴族の娘らしく云々とか説教されて面倒だからその通りにするようになっただけだし。


今では読書や刺繍なんかも結構好きといえるけど元来体を動かすことは好きだし、何よりそういう禁止されたものって自由を感じられるからこそもっと良いなぁと思う。手が届きそうで届かないものは欲求を煽るとか聞いたことあるけどそういうのかしら。



「ふーん?あ、でもここの家の使用人がもう少しで準備できるからお嬢様と別れられるやったーって言ってたからもう少しで外出られるんじゃない?」


「使用人の言葉そのままに言ったのは他意があってのことなのか違うのか…」



今更そんな言葉に傷つくような繊細な心も持ってないけどね。それよりも、



(もう少し、ね…)



まったく準備に関しては関わっていなかったから知らなかったけどそれほどまでに準備が進んでいるとなると改めて計画を頭の中に叩き込む必要があるか。そうは言っても結局行き当たりばったりの運任せになりそうだけど。


そしてこれが失敗したら再び逃げることは難しくなる。最初で最後のチャンス、絶対につかみ取って見せる。