離れたところで今日の集まりが終わる声がする。



「じゃあわたしはこれで。楽しい話をありがとう」


「あ、」



何か言われる前にわたしは屋敷に向かって歩き出した。だってこれ以上話をしているとどうしても外への憧れが強く出てしまいそうだったから。わたしと違って不便でも自由な生き方をしているこの人に八つ当たりしてしまいそうだったから。


自分の部屋に戻って重いドレスを脱いで1人ベッドの上に転がる。



「あ、そっか」



ふとさっきどうして歌を聞き終わったとき残念な気持ちになったのか理解した。あの人がとても自由にのびのび歌っていたとき、わたしもまるで自由なような気持ちがしたからだ。


この隔離された鳥かごのような窮屈な場所で初めて1人じゃないとき以外に自由を感じた。



「不思議な人…」



そして憧れを持たざるをえない人だ。わたしもあんな風に誰にも縛られることのない生き方をしてみたい。いや、してみたいんじゃなくてするんだ。絶対に、逃げてやる。


すこししんみりしていた気持ちが浮上して心と体に力が満ちるようだった。結果、翌日起きるのはいつもより遅かったが家人みんなそうだったので怒られずにすんだ。よかった。