自分のことは棚に上げてそんなことを考えていればこてんと首を傾げた男性がわたしを見つめて。
「1人?こんなところにいたら危ないんじゃない?君、今日の主役でしょう?」
嫌味かこの野郎、と言わなかった自分を褒めたたえたい。今日の主役イコール誰よりも幸せとか思うなよ?むしろどん底だよ!!言っても仕方ないけどな!!
「…認めたくないけど、そうね。危険については知らないわ。けど大丈夫なんじゃない」
駒たるわたしに利用価値があると認識しているのならそこらへんに監視でもなんでもいるだろう。別段あからさまな視線がなければ気にしないし、なくても別にわたしは困らない。
「そういう貴方は?こんなところにいなくても向こうにいればよかったじゃない」
多くの人間にとってああやってちやほやされるのは自尊心やら承認欲求やらが満たされて気持ちいいことだろう。わたしは死んでもごめんだけど。
あぁ、でもこの人に関していえばそんなこともないのかもしれない。というのもこれだけ見目麗しかったら人に囲まれて賛辞されるのなんて常でもおかしくないもの。
「あ、俺はね、ここの花を見に来たの」
「花?」
「そ、」


