「舞踏会、ですか」



食事中に出された提案に内心やれやれと思いながらも表情には出さないように気持ちを飲み込む。


まぁ遠からずそういうことをするとは思っていたが気が乗らない。ナイフとフォークを置いて両親を見る。



「顔合わせは済んでいるだろうが普段の公務で時間も取れていないだろうからな。交流会だと割り切ってくれ」


「はぁ、わかりました」



それでいつ、と聞いたところ「明日の夜だ」とすぐに返ってきた。随分と急なことだ。


なるほど、ルークが予定を調整してきたのはこのためかと納得。



「詳しいことは明日言おう」


「その明日が舞踏会なのでは…」



その無計画性にもしやと思って見てみればニッコリと微笑む母上。唐突に何かを始めるのはだいたい母上で、その応援をするのが父上だ。


今回もそうだったのかと思わずため息をこぼす。慣れているとはいえ、今回はなぜ急にこんなことを思いついたのか。



「あら、別にいいじゃない。お姫様たちがシリルを取り合う姿眺めたいし、アレンに色目使った人もいるみたいだからお仕置きしなくちゃ」



一箇所に全員集めるいい口実があってよかったわ、と嬉しそうな母上にげっそりする。見た目通りたくましいというか肝が据わってるというか……



「では、決まったら教えてください」