気が弱くて自分の現状に対して何もかもを諦めたように儚く笑うような人だったけど娘であるわたしのことは教育や礼儀作法など諦めずに教える機会を与えてくれたし、精一杯の愛情をくれた。わたしにとってはかけがえのない大切な母親だった。


母はわたしに幸せになってほしいと言っていた。自分の分も幸せになってほしいと。


最後に贈られた言葉は母が残してくれたわたしへの愛情だ。言われるまでもなくわたしは幸せになりたいし幸せにならないといけない。


その初めの第一歩としてわたしが何をしたかといえば家出だ。思春期によくあるような一時的なものではなく、文字通り一生ここに帰らないつもりで家を出た。でないとわたしはきっと母のように閉じ込められてどこそこの貴族に嫁がされてしまうから。


途中まではうまくいっていたものの、すぐに気付いた家のものに見つかり無理矢理連れ戻されたけどね!ものの見事に失敗したよ!


自分のことは自分でしていたとはいえ家を出るまですっと家の中に閉じ込められてたんだもん、自分が思っていた以上に世間知らずだって気付かなかったんだよちくしょう!!