パタリと着替えて外に出ると案の定扉の横で腕を組んで待っていたルーク。



「あぁ、ちゃんと逃げずに来ましたね、ってどうしたんですか。そんな難しい顔して」


「いや、私としたことがまさか……」



はぁ、と重いため息を吐く私にルークは訝しげにしつつ容赦なく「時間です」と歩くように促してくる。


名前……そうか。いつもは聞かなくても向こうから名乗ってくるからか。


私がわざわざ聞かなくても自然と知ることができたのだが、彼女はそういう素振りを見せなかったから……


まず彼女は自分はただの庭師だからと少なからず私と一線を引いていたような気がする。


そんな謙虚な彼女のことだから次に会ったときも自分から名乗ることはないような…多分名乗ってくれないだろう。



「はぁ……(まぁそれより彼女にまた会えるかが問題なのだが)」


「(この人がこんなに考え事をしているのを見るのは初めてだ)」



初めて悶々としながら予定をこなし「明日からはちゃんとしてくださいね」と半ば呆れたように言われて私は苦笑した。