「ジルバはもうそろそろここを出るつもりだと言っていた」
「…大丈夫なのかしら?」
「ここにいる間もそれなりの情報を集めていたらしい。あいつはあぁ見えて強い魔法の使い手だ」
聞くところによると命の力に付随してジルバさんは植物の声を聴くこともできるらしく、そこから追手の情報を得ていたとか。ただ植物のないところでは全く役に立たないよ、と言っていたみたいだけどそれでも十分すごいわ。
追っていた人たちはここから南にある国に行ったと予想をつけているみたいなのでジルバさんたちは北を目指すらしい。いろいろ旅をしてきて伝手もあるとか。交友関係が気になるところね。
「そう…仕方ないけれど寂しくなるわね」
「あいつのことだ、またふらりと今回みたいに現れて散々遊んだあと旅に出るだろうさ」
「ふふふ、そうね。そのときはローズちゃんも大きくなっているかしら?」
あれだけ仲睦まじいんですもの。もしかしたらシリルが見初めてしまうかもしれないわね。そうしたらローズちゃんが娘になるのよね…あら、なかなかいいんじゃない?
マリーとも相談してみようかしら、とちょっとした寂しさを抱えつつ1人そんなことを考えてこの日の夜は過ぎていった。


