それは薔薇の魔法~番外編~




うとうととしながらもいやいやと頭を振ってきゅう、とシリルの腕に抱き付くローズちゃん。本当にシリルに懐いて…マリーから見てもここまで懐くのは珍しいみたい。


どうしようかしら、と2人で顔を見合わせていればシリルがローズちゃんと目線を合わせるようにかがんで「大丈夫、また明日会えるよ」と微笑み約束だと小指を絡める。



「あえる…?」


「うん。だから今日はもう寝て明日いっぱい遊ぼう?」


「うん…ローズ、もうねる」



コクリ、と素直に頷いてマリーの腕の中に抱かれたローズちゃんはそれでも不安そうにうるんだ瞳をシリルに向けて小さな手を振った。


シリルにも眠るように言って私も部屋へと戻る。アランとジルバさんの話は長かったようで私が起きている間にアランが戻ってくることはなかった。


その話を私が聞けたのは次の日の夜。アランの想像通り、と言ってもいいのかしら。ジルバさんたちは今厄介な人たちに追われているらしい。それはジルバさんの力を狙って、という意味もあるけれどマリーとローズちゃんも一緒にその対象に入っているとか。


マリーさんに関してはその美しさと愛らしさで、そしてローズちゃんに関してはジルバさんと同じように癒しの魔法が使えるらしい。小さい頃から魔法を酷使するのは体に負担がかかるし何より危ないから使わないように言い含めてはいるみたい。


しばらくここでほとぼりを冷ましてから次の町に行くとは言っていたみたいだけど大丈夫なのかしら。と言ってここにずっといるのも居場所が特定されて危険だろうし…