とりあえずこれ以上の騒ぎにならないうちに、とアランは慌てたようにジルバと呼ばれた男性とその連れである女性と天使を城の中に招く。今更だなんて思ってないわよ、えぇ。
そしてどういう繋がりかと話を聞いてみればこの男性、前にアランが話してくれた旅人さんだったらしい。あの珍しい魔法を使う性別関係なく誑し込んだ超絶危険人物の。
実際にこうして見るとさもありなんと納得する容姿だわ。まだ聞いてはないけど普通に話している時でさえもどこか甘さを含んでいるのだから本気で歌ったりなんてしたらそれはもう…結果が目に浮かぶわね。
「いやぁ、本当はゼフ経由でアルに会おうとしたんだけど彼も見つけられなくてとりあえずうろうろしてたら君の奥さんに会っちゃって。でも会えたんだから結果オーライってやつだよねぇ」
「本当に、マイペースですみません…」
暢気に笑う彼の隣で頭を下げるのは彼の奥さんでマリーさん。アランと一度別れた後の旅で出会って一緒に旅をしているらしい。初め聞いたときアランは驚愕の顔をしていた。余程信じられないことだったのねぇ。
そしてマリーさんの腕の中でこちらを見上げているのは2人の娘であるローズちゃん。純粋に見つめる鮮やかな色の瞳の愛らしいこと。全体的にマリーさんの方に似たみたい。あらあら可愛いわぁ。
「いやぁ、昔からジルバはこんな感じだったのでお気になさらず。ゼフは今嫁さんと旅行で休暇中だ。あと数日は戻らん」
「え、ゼフ結婚したの?わお、いつの間に。アルに奥さんと子どもいるのもびっくりだけど」
「私もお前にこんな愛らしい嫁さんと子どもがいるのにびっくりだ」


