「だいぶ、その、図々しいお願いだと思いますけれど、ルーク様はきっとシリル様のそばでわたしの望むようにしてくれると信じています。シリル様の信頼する人ですから」


「ローズ様…」


「本当は少しだけ悔しくもあるのですよ?シリル様はルーク様に甘えているところがありますから」



柔らかいながらも困ったように笑うローズ様に自然と笑みが浮かぶ。主が選んだのがこの人でよかったと心から思えた。



「えぇ。なんだかんだ言っても俺が選んだ主と、その主が選んだ人をそばで支えるのが俺の役目だと思っていますから」



解雇されない限りはできるだけおそばにいますよ、と言うとローズ様は本当に嬉しそうに微笑んだ。


一緒に主の部屋を訪ねればローズ様に関しては甘い微笑みとともに嬉しそうにしていたが同時になぜ俺といるのかと疑問といささかの嫉妬をしているようでなんだか笑いがこみあげてしまう。


途中でたまたま会ったのだと言っても納得はしても不満気で、本当にローズ様と出会ってから主は変わったなぁとなんだか感慨深い。



「では、夕食の時間になったらお呼びしますのでそれまでは2人でごゆっくりしてください」


「あぁ」


「ありがとうございます」



一礼して主たちが部屋の中に入るのを見送る。



「また明日も主の機嫌は良さそうだ…」



これからも恐らくはそうなのだろうと今朝も思ったことを考えて俺は主とローズ様の好きなお茶を用意するべく歩き出した。