一仕事終えたころに主の部屋に向かうと途中でローズ様と会った。どうやらローズ様も今日の講義は受け終わったとのことで夕食までの時間主と過ごそうと思ったらしい。ならば俺はお茶の準備でもするか。



「あの、ルーク様はシリル様とは幼いころからのお知り合いなのですよね?」


「えぇ、まぁそんな感じですね」


「ではこれからもシリル様のことをよろしくお願いします」



真摯な瞳で見つめられて柄にもなくドキリとする。あまりにも真っ直ぐに見つめられたからだろう。貴族の世界ではこんなに純粋に人を見つめる人のほうが少ない。



「わたしにはシリル様がこの国のために何かしているということを理解していても、それがどんなことなのか詳しいことはわからないので本当に理解しているわけではないのです」



漠然としかわからないし、理解しようとしても十二分に理解することは難しいだろう。だからと言って丸投げするつもりもないし自分にできる精一杯のことをしようとはしている。


でもわたしはわかってはあげられないから、その分シリル様が一番信頼している人にわたしの支えられない部分を支えてほしい。一緒にこの国を背負ってほしい。