午後は政務も今日の分は終わってしまったので主のリクエストに応えて軽く手合わせをすることになった。といっても俺も主と同じで剣を持つ時間なんてこの頃持てていないんですけどね。
だが自分は主を守るためにもそばにいるので1日に1回は剣をとるようにはしている。じゃないといざって時に動けないとしっかり体に叩き込まれているのだ。それはもう文字通り、と幼少期を思い出しかけて無理やり記憶の彼方に追いやった。
動きやすい服に着替えてしばらく主と剣を交えていたがやはり以前よりも切込みの鋭さがなまっているような気がする。主も自身の衰えを感じたようで苦笑していた。
俺はともかくとして主は本来守られる立場なのだからそこまで剣を扱えなくてもいいんですけどね。必要最低限、護身できる程度であれば十分だ。まぁそれでこそ俺が認めた主ですが。
汗を流して部屋に戻った主を見送り俺は俺でしなければならないことをこの間にしてしまう。一応これでも俺も貴族の一員でしかも嫡男なので領地やらなんやらの采配をする必要があるのだ。
と言っても現状ほとんど弟にしてもらっているようなものなのでこの際跡継ぎとしての継承権もくれてやりたい。現在本人に交渉しているが是を貰えず…普通は逆に欲しがるものではないのだろうか。


