「ローズ、話はそれぐらいにして昼食にしよう」
「ふふ、はい」
テーブルの上に用意された食事を楽しむ2人の姿を見つめる。なんだかんだと神経を逆なでされながらもやはり幸せそうな主の姿に嬉しく思った。言葉にすることはないだろうが。
ローズ様の午後からの講義の時間に合わせて昼食会を終わらせる。主は若干物足りなさそうだが自重してください。これも主のためなんですから。
有能で素晴らしい人なのにローズ様と婚約したあたりから理性が仕事を放棄しているんじゃないだろうか。まぁ人間らしくなったということにしておこう。
「じゃあまた夕食のときに」
「はい、失礼いたします」
習ったのであろう淑女の礼は生粋の貴族として育てられた自分の目から見ても美しく堂に入ったものだ。さすが王妃様だ。
というかそれは置いておくとして主のために健気に学ぶローズ様には有難くて涙が出てくる。本当はそんな立派な主ではないのですよというのは心の奥にしまっておこう。
主はそんなローズ様を愛おしげに見つめて一房亜麻色の髪を手に取ったかと思うとそこに口づけを落とす。ローズ様はそれを目に入れて頬を赤く染めていた。
恥ずかしそうにしながらその場を早足で去った彼女に対して主の機嫌はいい。ローズ様、主がすみません。ですが本音を言うととても助かってますのでこれからもよろしくお願いします。


