もともとはこの城の庭師として働いていたのだが、何のきっかけなのかシリル様と出会いその心を意図せず射止めてまた彼女も恋に落ちて主の努力をもって現に至る。
穏やかで幸せそうな笑みを浮かべながら話している2人の姿を見ているのはこちらまで微笑ましい気持ちになるから嫌いではない。たまに主に対してはイラッとするが。
「ルーク様も、お付き合いしてもらってすみません」
「いえ、俺はそれが仕事ですから。あとローズ様、俺に敬称はいりませんよ」
「わかってはいるのですけど、慣れなくて…」
困ったように眉を下げる姿にそれも仕方ないと理解しているがこれから主の隣に立ってこの国を背負う立場になるのだから慣れてもらわなければ困る。それが彼女自身を守ることにもなるのだから。
1から10まで言わずとも聡いローズ様は自分で分かっているのか「頑張ります」と微笑んだ。主、ローズ様が見ていないからとそんな温度のない目で見ないでください。いじめているわけじゃないんですから。
と言っても彼女は幼い時から自分でも気づかないうちに礼儀作法の教育は受けていたようで(まさか予見していたわけではないですよね王妃様)気を付けなければならないのは態度のみだ。礼儀作法以外も王妃教育で呼ばれている講師の話を聞くと優秀らしい。


