「シ・リ・ル・さ・ま!!」



予想通りというか、戻って早々にお冠な私の付き人であるルークが仁王立ちで待ち構えていた。


どちらかというとオレンジに近い茶色の髪は後ろで束ね、萌えるようなグリーンの瞳は素直に賞賛するほどに綺麗な色をしている。


一見軽そうな性格に見えるが、かけているシルバーフレームの眼鏡が似合うような堅実な人間だ。


つまり、見た目と正反対の性格をしている。本人ももう少しましな容姿がよかったと言っていたがこれはこれで女性に人気があるのだから言うだけ贅沢というものだ。




「あれほど…あれほど!部屋を出るなと言ったのに!貴方という人は一体どこをほっつき歩いていたのですか!!」


「庭の薔薇に誘われてちょっと」



散歩に行ってきたんだと言えば目眩でも起こしたのかふらりと額に手を当ててよろけるルーク。


こうして戻ってきたのだから細かいことは考えなくてもいいような気がするのだが。まぁ悪いのは私かと謝り今日の予定に目を通す。


ほとんどは縁談相手との顔合わせか……全員舞踏会やちょっとした催し物で会っているはずだが仕方がない。


私のような立場だとこういう形式というものがどれだけ重要なのかも理解しているしな。