コツコツと歩くたびに足音が響く。すでにローズは広間にいるという報告に返事をしながら進める足を速くした。


この数日、予想通りとは言えローズに会えなかったのは辛かったがこの日をうまく乗り切れば障害はないに等しい。


そうなるように先回りして外堀は埋めておいた。多少ルークには無茶をさせたおいおい何か褒美でも与えようと思う。



「主、」


「なんだい」


「ここまで働かせておいて『無理でした』なんてことにならないようにしてくださいよ」



その後ろに俺の苦労を無駄にするなという言葉がくっついているように聞こえる。


ささやかな意趣返しなのかプレッシャーを与えてくるルークに思わず笑みがこぼれた。



「あぁ、任せてくれ」



本当に、ここまでいろいろな人に力を借りて振られたなんてことにはなりたくない。まぁそうはならないだろうが。


広間にいる全員の前で愛を請おうとしているのだからそれを跳ね除けるなんてある意味で不敬に当たること、彼女はしない。私を慕っているのならなおのこと。


多少どころか完全に卑怯な手ではあるがすり抜けて行った彼女をこの腕の中に留まらせるためならしのごの言ってはいられない。文句は全てが終わってからローズに聞こう。


高揚している自分に苦笑しながら私は広間に続く扉をくぐった。



さぁ、薔薇のように咲き誇る彼女を迎えに行こうか



*彼女は薔薇のように咲き誇る fin