うっすらと笑みを浮かべて自室の部屋の扉を開ければまだルークが残っていた。


そして私の顔を見るや否や「げっ、」と主に向けるものとは思えない嫌な顔を…本当に遠慮のない男だ。今さらかしこまられても困惑しかないが。



「ルーク、丁度いいところにいたな」


「何がですか。嫌ですよ何させるつもりですか」


「まだ何も言ってないのだが…」



そこまで警戒しなくてもいいだろうと伝えれば「王妃様と同じ顔してるときの主はろくなこと考えてないですから警戒するのは当たり前でしょうが!過去のあれこれ思い出してみろ!」と言われた。


というかむしろ怒鳴られた。ルークにしては珍しく敬語が取れるぐらい動揺しているらしい。毛を逆立てて威嚇する猫のようだ。


さりげなく母上を貶しているような気がするが、そういえば幼い頃、私と一緒にルークも母上にいろいろされたなぁと思い出して。


あと私もそれなりのことをルークにした気が…あぁして嫌がられるのも仕方ないような。気がする。


まぁなんと言おうがルークに拒否権はない。今回ばかりは嫌でもなんでも働いてもらうことは決定だ。


ニッコリとおそらくは母上そっくりの笑みを浮かべればルークは散々嫌だと抵抗したが最後は諦めたようにガックリと肩を落とした。