「まぁこれはあくまでわたくしの考えですわ。参考程度にしておいてくださいな」


「あぁ。礼を言おう」



他者の意見を聞くだけでも視野が広がって心強い。私だけの考えだとどうしてもローズに遠慮してしまうからな。


それでは、と今度こそ背を向けたリリアス姫を見送ってから私も母上のところに向かう。とりあえずローズから話を聞くのは無理そうなので母上から詳しいことを聞かなければならない。


ノックをして返事も待たずに入ると優雅にお茶を楽しみながらもニンマリと悪い笑みを浮かべる母上に無意識のうちにため息が溢れた。


全く、自分の親ながらなぜ父上は母上がよかったのかと首を傾げてしまう。普段はこういう面を見せていないとは言え、見せたら見せたで私ならお断りするものだが。



「あら、シリルさっきぶりね。どうしたのかしら?」


「白々しいですよ母上。ローズに何を吹き込んだんですか」


「あらあら、吹き込んだなんて嫌な言い方ねぇ」



うふふ、とわざとらしく首を傾げてこちらをからかってくる態度にげんなりしてしまう。本当に、どうして父上はこんな性格の母上を選んだのか…


何回になるのかもはや数えるのも面倒な問いを頭の中の父上に問う。実際に聞いたところでなんだかんだ母上を愛している父上からは惚気しか聞けないだろう。痘痕も笑窪とはよく言ったものだ。