兵士の声が聞こえなくなったのを確かめて手を離すと限界だったのかへなへなと座り込んでしまった少女。


カタカタと恐怖で震えながら自分自身を守るように抱きしめてはらはらと声も漏らさず涙を流している。


そんな姿に心が痛み、改めて自分がしてしまったことに罪悪感がわいてくる。


気づいた時には膝をつき手を伸ばし、その頬を伝う涙に触れていた。



「すまない。怖がらせるつもりはなかったのだが…」



そっと頬を撫でると強ばっていた体から少し力が抜けたようでホッとする。


恐る恐るというように私の手に従って顔を上げる少女。


白く滑らかな肌、そこにかかる亜麻色の髪は波打ち朝日でところどころ金に煌めいている。


上気した頬は淡く色づき、薔薇の花びらのようでどこか気品が匂い立ち。


こぼれそうに大きな珍しいローズピンクの瞳は涙で潤み、ふっくらした唇が誘うように私の名前を囁いた。



「シリル、様…」