すでに終了した資料をまとめて抱えるルーク。そのまま持っていくのか背を向けて出て行こうとする前に一度振り返る様子に首を傾げた。
珍しくなんの嫌味もなく柔らかな笑顔を浮かべるルークに目を丸くする。
「気になるのならば行動あるのみですよ。頭で考えてばかりいるからヘタレと言われるのです」
「な、」
ニヤリとさっきまでの笑顔はどこに行ったのかルークはからかうような笑みを浮かべる。というかなぜそれを知っているんだ。
その疑問を口にする前に逃げるように出て行くのに唖然。こういうときの動きは速い。それをもっと別のところで発揮してほしい。
「ヘタレ…」
確かに言われたが、本当になぜあいつが知っているのか。あの場にはいなかったはずなのだが。
自然と浮いた腰を落ち着けて大きく息を吐く。もうこの際ルークが知っていた云々は脇に置いておく。
「行動、か……」
私を兄のように慕ってくれていたいとこも似たようなことを言っていたなと思わず笑みがこぼれた。
確かに理由はわからないが避けられ続けている現状、私から動かなければおそらく一生彼女は私のところには来ないだろう。
会いに行こうと決めると驚くほど胸のあたりがすっきりして私は残りの仕事に取り掛かった。


