はずなのに、



「ローズ…」



なぜこのような状態になっているのか。


全くもってわからずに項垂れる私に追い打ちをかけるように頭から資料が落ちてきた。その犯人など考えるまでもなく。


だからこそ動かずに無視を決め込んでいたがはたかれればそれも崩れる。しかもかかなりいい音がした。



「ルーク…」


「そんな睨まれても効きませんよ。さっさと仕事して下さいよ」



ずいっと出されるそれにため息が漏れるが言っていることは最もなので大人しく受け取る。


これでも厳選した方なのだろう。いつもより仕事量は少ない。私の効率が悪いせいで消化できていないだけだ。


自分のせいだとは理解していても感情はどうも納得していないようですっきりしない気持ちに再びため息がこぼれた。



「最近の主は見ていて飽きませんね」



しみじみと言われて顔を上げるとルークもこちらを見ていて図らずも目が合う。


明るい色の瞳が呆れたように、それでもどこか面白そうな光を帯びている。



「飽きないって…仮にも私はお前の主なのだが」



下手したら不敬罪に問われるだろう。まぁそんな気は毛頭ないが。



「ですが本当のことですよ。1人の女性に振り回されて一喜一憂する貴方は人間くさくて笑えます。じれったくもなりますがね」