コンコン、と鳴らされる扉に声をかけると入ってきたのはルークで眉を寄せる。ルークにはローズのことを任せていたはずだが。



「ローズはどうしたの?」



母上も同じことを思ったのかルークに詰め寄ると少しだけ苦いような表情をする。



「はい…報告しますと、薔薇園でローズとリリアス姫が会ってしまったようで何か話したあとにローズが自室に戻ってしまいました。俺が出て行くと雲行きが怪しくなると思いまして、彼女が無事に戻ったとを確認し、リリアス姫には他の部屋で待っているように待機させてあります」



申し訳ありません、と頭を下げるルークに気にするなと声をかけてやる。


これはどちらかというと私のミスだ。こんなに早い段階で彼女が接触してしまうとは…これだから詰めが甘いと言われてしまうのだな。


一瞬考えたあとに立ち上がる。起こってしまったことに対してめげていてはいられない。



「主?」


「リリアス姫のところに案内してくれ」


「いいのですか?」



少しの困惑と驚愕に目を見開くルークに「あぁ」と返事をする。


言いたいことはわかっているつもりだ。ローズは今、きっと傷ついている。もしかしたら涙を流しているかもしれない。


だが、今私がしなければならないことはこれ以上ローズを傷つけないために早急に動くことだ。でなければローズはこれからもっと傷つくかもしれない。