すぐに思い当たったのか「あぁ、あの姫ね…」とあからさまに顔をしかめる母上。
なぜそんなあからさまに、と考えたときにそういえばその噂の中には父上に関するものもあったようなと思い出して苦笑した。父上も困ったように肩をすくめる。
「あの姫って結構過激なこともしているはずだけど。ローズを1人にしてへいきかしら?」
「一応彼女にはわからないようにですがルークをつけています」
頼んだときは「俺は護衛じゃないんですけどね」と渋い顔をされたがなんだかんだと引き受けてくれた。
それにあぁ見えてルークは肉体派なところがある。幼いときはもっぱら私の剣や馬術で競っていたりしたしな。
本人も今でこそそういう機会は減っているが体を動かすこと自体嫌いではないらしく、時間があるときは私の相手をしてくれることもある。
「ルークなら大丈夫だろう。それよりこちらはこちらでやるべきことをしなければならん」
わかっているな?とこちらを見る父上に応えるように頷く。
真偽を確かめてリリアス姫にはしかるべき処置をしなければならない。これは私の問題であり、私が決着をつけなければならないものだ。


