2日もすれば熱も微熱にまで下がりローズの意識も戻ったためホッと息を吐く。床にへたりと座り込んでいるのを見たときは驚いたが。
居た堪れないというように私のベッドの上にいる様子は、ローズには悪いが小さく芽生えた独占欲のようなものが満たされて自然と表情が緩んでしまい誤魔化すのが大変だった。
体調がよくなると庭に出たいというローズを見送り、部屋の中に父上たちを呼ぶ。
「シリル、わかったの?」
「えぇ、」
厳しい顔をした父上と母上はこの国に立つ人間のそれで今の私には出せないような抗い難い貫禄がある。
こういうとき父上たちは立派な人なのだと改めて感じる。
「あの日、薔薇園を最後に出たのはリリアス姫だという証言が警備の者からとれました」
薔薇が全て切り落とされていたなどということが第三者に伝わっていればもっと噂になっているはず。
リリアス姫が薔薇園を出た後、それと入れ替わるようにローズが薔薇園に入ったという証言も同じ人物からとれている。
時間帯も辻褄があうため、恐らくは推察する通りだろう。それに、以前からリリアス姫にはよくない噂があった。水面下での噂程度のものだったが。


