「それじゃあ、ひとまず出て行きなさい」
「……え」
さっきはそばにいてもいいと言っておきながらなぜと疑問をぶつける前に背を押されて私と父上は部屋を追い出される。一応そこ私の部屋なのですが……
「ローズを着替えさせるのよ!いいって言うまで入ってきちゃダメよ!」
あぁ、なるほどと納得。
母上は何人かの侍女に言付けてパタリと扉の向こうに消えた。
いいと言うまで入るなとは言われたが、これはいつになるのか分からないな。時間がかかるだろうか。
「それでは、ローズのことは2人に任せて私はホールに戻ろう」
「お待ちください父上」
背を向けた父上はこちらに振り返り穏やかな笑みを浮かべた。
その瞳は私が思っていることや伝えようとしていることの全てを見通しているようで。
「確かに私はお前に早く妻を娶って後を次いでほしいと思っていた。それは私の責務でもある」
「はい、理解しているつもりです」
子を生み、自分の血を繋げていくこともこの国を存続させるために必要なことだ。
王たるものの重要な仕事の1つと言っても過言ではないだろう。
「だが、親として、子どもたちの幸せを願っているのも本心だ。お前の力の及ぶところでできることなら好きにしなさい。私はお前の見方だ」
「…はい」
ありがとうございます、と言うと親として当然だと返された。


