「これがその反動であり、代償ということですか…」
「そうなるわね」
苦しげな表情をして眠る彼女に目を向ける。
自分がこんなになるまで……短い付き合いでも彼女が自分より他人のことを考える人なのだとはわかってはいたが、ここまで自分を蔑ろにするなんて。
ローズが自分の目の前で崩れ落ちた瞬間が脳裏に浮かぶ。
あのとき、ローズに何かあったのかとかいきなり倒れたことに対する驚きももちろんあった。
しかし一番強く感じたのは彼女を失うことへの恐怖だった。
本当に、自分が情けなくも震えるほどに怖かった。それほどに、私の中での彼女の存在は大きくなっているのだと自覚する。
「さぁ、とりあえずローズを私の部屋に運ぶわ」
立ち上がり行動しようとする母上に思わず静止の声をかける。
確かに同性で付き合いの長い母上に頼んだ方がいいのだろうが、どうしても彼女から離れたくないというか……できることなら私が彼女の支えになりたい。
これは私のわがままに他ならない。彼女の隣にいるのが、その手を取るのが、自分であってほしいと。
「……わかったわ。ローズの体を動かすのもよくないし、貴方の方が時間に融通も効くものね」
困ったように微笑み、それでも一応体裁が悪くならないようにと母上もできるだけそばにいることを約束する。
それで私がローズのそばにいることを許されるならば安いものだ。


