私を押しのけてローズのそばに寄り沿い、その頬に触れる母上はとても悲しそうで瞳にはうっすらと涙を浮かべていた。
父上も悲しそうだったが、私を安心させるようにホールの方は大丈夫だからととりあえずの状況を教えてもらい私も一息つく。
ルークも一役買っていたようで礼を言うと頷き、ホールの方に行くのか部屋を出て行った。
「母上、ローズはなぜこんな、」
「無理をしすぎたのよ」
無理?と問いかけるように母上を見つめる。
母上が言うには昨日、庭の薔薇が全て切り落とされていてそれを再び咲かせるためにローズはずっと歌い続けていたらしい。
一度目にしたことがあるように彼女の魔法は恵みと癒やし。歌にしてその力を薔薇に込めている。
しかし魔法でも生命を扱うようなものは高度な技術が必要で、その力も通常のものより必要になる。
「あと、これは憶測になるのだけど、ローズは一時的に自分の命を力に変換して魔法を行使したのだと思うわ」
「自らの命を、魔法の力に?」
「えぇ」
ローズの魔法が直接命に作用するものだからこそできること。
普段の魔法に上乗せして更に強力なものとして使うことができる、が。


