何度か声をかけてみるもののぐったりと固く目を閉じ目を覚ます気配がない。


彼女はこの城で寝泊まりをしていると言っていたがその場所はわからない。


まぁ例え場所を知っていたとしても今の彼女を手放すつもりはないが。


そっと横抱きにして自分の部屋に急ぐ。その間もローズが気づく感じはない。


この状態で誰かに見られたらどう言おうかと考えていたが、幸いほとんどホールの方に行ってしまったようで誰に会うこともなく部屋についた。


ベッドにローズを下ろして布団をかける。


着替えさせた方がいいのかもしれないが、さすがにそこまでするのはローズに悪いし着替えもない。そこは後で母上に頼んでおこう。


髪を束ねていたリボンをほどき、そっと額に触れるとさっきまで冷たかった体が今度は火照って熱くなっている。


苦しげに眉を寄せて呼吸も荒い。熱のときの対処法は、と考えているとガチャリと扉が開いた。



「主、まだこんなところにいたんですか。そろそろ来てください、よ……って、は?」



イライラとしていたルークの表情がベッドにいた彼女と私の姿を見比べてポカンとしている。


固まるほど驚くことか。だが調度いいところに来たと言わざるを得ない。