しばらくお茶をしたり談笑したりして時間を過ごし、そろそろというところで席を立った。


女性と比べると準備は楽だがそれでも着替えたり髪を整えたりとしなければならないことはたくさんあって時間がかかる。


そこまでしなくてもいいのではないかとも思うが自分の置かれている立場を考えれば大変でも面倒でも仕方がない。


自室に向かおうとするがふとその前に両親のところに行こうと方向転換する。


私の考えすぎならいいのだが…庭の件がどうも気になる。


知らず知らずのうちに足早になる歩調に気持ちまで焦るような気がした。


そして歩いていると壁に手をついてなんとか立っているような状態の人が1人。


後ろから見てもわかる華奢な体にシンプルに後ろで一つに束ねた亜麻色の波打った髪。



「ローズ?」



鈍い動作で振り返った彼女の顔は真っ青で目は虚ろに私をかろうじて映しているようだった。



「シ、リル、さ……」


「ローズ!?」



言い終わる前にぐらついた体に私は慌てて彼女の体を抱き留めた。


ひんやりと温かみのない体にぞっとする。まるで氷のように冷たい。



「ローズっ」