「彼女は責任感が強いですからね。最終確認でもしているのではないですか」


「…だと、いいのだが」



なぜか心がざわめく。嫌な予感、というのだろうか。意味もなく不安がよぎる。


眉をひそめる私にルークは何か思うところがあったのか父上に聞いてこようかと聞いてくる。



「そうだな……」



それがいいかと考えたところでノック音が響き兵が入ってきた。



「失礼します」


「どうした?」



私の代わりにルークが答えて入ってきた兵と向き合う。



「はい。リリアス姫がシリル様の仕事はもう終わったのか、と」



いかがいたしましょう、と述べる兵にルークが私に目を向ける。その瞳は「どうしますか?」と問いかけていた。


正直に言うとローズのもとに行きたいが、庭の立ち入り禁止令が出されているとなると彼女がどこにいるのか見当もつかない。


庭師と言ってはいても他の仕事も兼任しているらしく、いろいろな場所で彼女を見るからな。


それに、リリアス姫が相手となると邪見に扱うわけにもいかない。



「今行くと伝えてくれ」


「はい」



兵が部屋を出ると自然にため息がこぼれる。立ち上がり脱いでいた上着を羽織って軽く服装をただす。


こうなったら夜の準備があるという名目で早めに戻らせてもらおうと考え、見送ってくれたルークに後を任せて私は外に出た。