ローズは私の縁談相手としてここに滞在しているわけではないし、仮にも庭師、つまり使用人の分類に入るわけで。
ルークのことだ。もしここでローズの名を出したらすぐに母上と父上に言うに違いない。
まぁ母上のことだ。母上は気が付いていそうだが、わざわざ確信を持たせるようなことは避けたいし。
「それより、今日はこれで終わりか?」
「え?あぁ、はい。今日は陛下たちのお祝いの席なので」
そうかと呟いて背もたれに体を預ける。
両親の祝いの日というのはわかっているものの私まで出る必要は果たしたあるのか…こんな日ぐらい父上たちだけを祝えばいいものを。
だが今夜のためと称して今日まできつめに仕事を入れてもらった。
今夜を過ぎれば多少時間にも余裕ができてローズと過ごせる時間も増えるだろう。彼女の都合は把握していないが。
「夜まで時間がありますから自由にしていてください。あ、でも庭には立ち入り禁止になっているのでいかないでくださいね」
「庭が?」
何かあったのかと聞いてみるがそこらへんの事情はよう知らされていないらしい。
ただ昨日から庭には誰にもいれるなという父上の知らせだけが回ってきて。


