目の前にある資料に目を通し終わると知らず知らずのうちにこぼしていたらしく「ため息やめてくださいよ」とジロリと見られた。
無意識かと思いながら謝ると目を通し終わった資料を確認していく。
「最近多いですね」
「ん?」
「ため息ついたりぼっとしたり。何か思うところでもあるんですか?」
ペラリ、紙をめくる音が部屋に落ちる。思うところか…
「どちらかというと想う人だな」
最近ローズに会えていないなと思い、ふとした時に彼女の姿を探している。
この城の中のどこかにはいるというのに会いに行けないよいうのはなんとももどかしい。
「へぇ、想う人ですか。……おも、想う人?」
は?と顔を上げるルークはやっと言葉の意味が頭に追いついたらしい。
目を丸くして驚いている様子は滅多に見られるものではないなとと密かに堪能する。
「え、主、どの我が儘姫がお好みだったので?」
「仮にも名のある貴族だぞ……」
「すみません、驚いてつい本音が」
コホンと調子を整えるように咳払いをして真面目に誰なのか聞かれるが。……はたしてこれは言ってもいいのだろうか。


