この感情が恋であると受け入れたのはいいがそこから動けていないのが現状。


仕事のうちとして縁談相手としてここにいる姫君たちとも過ごさなければならないし、私の次女はローズには関係なく、普段通りに働いているのだから会うこともあまりない。


ただ出歩くようになってたまに会う機会もあるのでそのときは声をかけたりお茶に誘ったりしている。が、それだけだ。



「え、お兄さまってヘタレだったの?」


「ヘタレって……」



言い方が悪い。



「私には公務もあるし時間もあまりない、彼女にも彼女の仕事がある。私の都合だけで振り回して迷惑をかけるわけにはいかないだろう」



こういう考えすぎなところがヘタレと言われた理由なのか。


でも真面目なローズのことだ。仕事を放って私の相手をすることなどできないに違いない。


話をするだけでも彼女がどれだけ仕事を大切にして責任を持っていることが分かる。



「ふーん、でもお兄さまから動かないとその彼女も動かなさそうだけど?」


「まぁ、そうだが…」


「仕方ないなぁ。困ってるお兄さまのために従姉妹のあたしがきっかけを作ってあ・げ・る!」


ニッコリとどこか母上と似通った笑顔を浮かべ、従姉妹は胸を叩いた。