今夜のためか心なしかいつもより仕事の量が少ない気がする。そのしわ寄せは明日になるのだからいつも通りにしてくれればいいものを。


というより聞いてて気づいたが。



「彼女以外の庭師はいないのか?」


「えぇ、前にいた者は高齢で辞めています。それを彼女が引き継いだ感じですね。いざというときは町にいるそういう人たちにも力を借りますが基本的には彼女1人でこなしているようです」



それがどうかしましたかと疑問を浮かべるルークは置いておいて思考にふける。


彼女の魔法を間近で見せてもらい、確かに珍しく素晴らしい魔法で、あの力なら1人でも庭の薔薇を世話するのは容易なことだろうと思う、が。


魔法の根源はそもそも自らの精神的なエネルギー、命そのもそと言っても過言ではない。


睡眠や食事でそれは補うことができるだろうが、一度に補える量は決まっている。


そしてそれをおろそかにしたり酷使したりすれば取り返しのつかないことになることもある。



「大丈夫だろうか…」


「それは貴方ですよ」



考え事する前に仕事してください、と資料ではたかれる。勢いはあったものの薄い紙なので痛みはない、が。



「行動が雑に……」


「誰のせいだと思ってんですか」



口調もなんとなく崩れているぞ、と指摘しようと思ったがまた何か言われても困るので言われた通り仕事を再開させた。