着いた先はは母上と父上の寝室として使っている部屋で、さすがにここに入るのは良くないだろうと思ったが無理やり促されて入る。
将来は私たちが使うことになるのだからと言われてしまえば良いとは言えないが悪いことではないはず…なのに後ろめたくなるのはプライベートを侵していると自覚があるからだろうか。
「これよ、シリル」
丁寧に額縁に入れられた絵は2枚。1つは幼い私とそれより幼い見慣れた亜麻色の髪とローズピンクの瞳が愛らしい幼子が笑っているもの。
もう1つはその幼子を抱いた大人が2人、幸せそうに微笑んでいるもの。黒髪に緑の目をした朗らかで優しそうな男性と濃い茶色の髪に凛とした雰囲気を持つ幼子と同じ色をした目をした女性。
「もしかして…」
「えぇ。この2人がマリーとジルバさんでローズの両親よ」
2人が城を出る前に描かせていたものらしい。出来上がったのは事故で亡くなったあとでローズに見せるのも辛くなるかもしれないからとここに大切に保管しておいたとか。
ローズが元気になった頃にあげようと思ったようだがそれをローズは断り、その代わりに少し小さめなものを模写したものを持っているらしい。もしかしてたまに大切そうに見ていたあれだろうか。
「今度お墓の場所も案内するわね」
植物が好きだった2人のためにここから少し離れた森にお墓を作ったようで、命日にはローズが、そして空いた時間に父上と母上も参っているという。


